2025年4月3日
のあインターナショナルスクール 校長 月井博

<教育における、もう一つの選択肢を>

 日本の教育は明治維新における開国以来、富国強兵の名の下一人でも多くの優秀な人材を輩出するために、戦後も通して、現在まで続いてきた教育制度一本で貫いてきました。しかし少子化にもかかわらず、年々増加している不登校生の数を考えると(昨年度は日本全国の小中学校で約34万人)、ここで立ち止まって、今一度、教育のあり方を考える必要があるのではないでしょうか。
 現在の教育制度は、教育現場における生徒間の「比較と競争」を、枠組みとしています。しかしこの時代のあらゆる面における多様化とともに、子どもたちの教育においても、「比較と競争」という枠組みではなく、一人ひとりの子どもの特性に目を向けて、その子の持っている可能性を最大限に引き出す、別な教育の枠組みがあっても良いのではないかと、私は長年考えてきました。
 諸外国においては、そのようなオルタナティブ教育(教育において、別な枠組みを土台とする、もう一つの選択肢)が、存在する国が増えてきています。

 

<のあインターナショナルスクールの教育>

 近年になって、その増えつつある不登校生対策の一環として、文部科学省から、オルタナティブ教育となるような提案がなされました。その名は「学びの多様化学校」です。
 のあインターナショナルスクールは、20年ほど前に、小学校に通うことができなくなった一人の不登校生を支援する中から生まれてきました。この20年の実績の中から、これらの不登校生たちを支援する学校として、広範囲な地域から、不登校生が集まってくるようになりました。同時に、このスクールは本郷台キリスト教会が土台となって整えられてきており、今までの「比較と競争」という枠組みに代わるものとして、個人の特性を配慮し、「祈り」と共に「神の愛」を一人ひとりの心に植え付けるという聖書的な枠組みを土台として、教育を行う学校となっています。

卒業生保護者の声

 

<付きまとう危機感>

 そのような、「祈りと神の愛」を土台とした教育を行うことによって、不登校生たちには、著しい変化が度々起こってきました。その感動の物語は枚挙にいとまがありません。このようにして、このスクールの働きが祝福されてくる一方で、スクールを運営する責任を与えられた私には、一つの危機感が常にありました。
 スクールは生徒と先生がいて成り立つものです。このスクールの先生は、当初からこの働きの主旨に賛同して、手弁当で使命感を持って加わってくださった方々でした。しかし、それに対する報酬は見合ったものではありませんでした。一時的な働きであるなら、それでも乗り越えることはできますが、それが長期にわたると負担感も重くなってきます。

<学校法人化への取り組み>

 上記のような学校運営のあり方は、短期的には可能であっても、長期的には、存続の可能性がありません。使命感を持った第一世代の先生が絶えた時、担い手がいなくなるからです。それが当初から、私が抱えていた危機感でした。
 そのために、ある時期から、私の心にはこのスクールの「学校法人化」が強い願いとなってきました。同じように使命感を持った、若い世代の先生を継続的に迎えていくには、その生活そのものを支える充分な報酬が必要だからです。学校法人化には、膨大な土地とお金が必要ですが、その危機感の中から生まれた、夢のまた夢……のような願いも、時代の必要であるならば叶えられると信じつつ、決心してその取り組みを始めました。

 

<スクールの現状>

 その間何度か、経営面における困難を通り、生徒一人から運営協力金としていただいている4万円という月謝を値上げする可能性も考えました。しかし、母子家庭や若い家庭など経済的困難の中で生活している家庭のことを思うと、値上げに踏み切ることはできませんでした。集まってくる生徒の数が増えるにつれて、その教育に携わる先生の数も更に求められ、増やしてきました。そのような事情もあり、スクール創立20年目にあたる2024年度の毎月のスクール運営は赤字の連続でした(総額約100万円)。
 ここまでやってこられたのは、多くの方々の支援によることですが、のあインターナショナルスクールはそのスクールのあり方を、ステップアップする段階にきています。

 

<学びの多様化学校>

 夢の夢……であることを承知の上で、「学校法人化」に取り組み始めた私たちに、この時代の流れが答えてくれました。上記のように、文部科学省が「学びの多様化学校」を提唱したのです。この特例校は既存のカリキュラムに比べて約25%減の年間授業時間が定められ、それによって空く時間をさまざまに工夫して用いることができます。また一クラス10人規模の小規模クラスも可能となります。今までスクールが行ってきたことを、そのまま継続できるのです。
 徐々にですが、横浜市や神奈川県も、その提案に応答してくれるようになってきました。条件さえ整えば、私たちのスクールは「学びの多様化学校」として、学校法人認可が可能な状況になってきました。

 

<学校法人認可の条件>

 認可のための条件とはまず、資格を持った先生たちですが、この点においてはすでに整えられています。一番のハードルは十分に広い土地でしたが、長年にわたってこのスクールを支援してきてくれた教会が、野七里の土地の一部を長期的に無償で貸与することを決断してくれました。最後の条件は、県の基準を満たす広さを持った校舎の自己所有です。一クラスの定員を10人と設定し、小学校6クラス・中学校3クラスで、合計人数90人を目標とする設定で、校舎を設計していただいたところ、2階建てで、延べ面積約1000m²の建物図面が出来上がってきました。この図面を元に、さまざまな建設会社の見積もりを提出していただき、検討しました。結果として、木造建築で、設備費などを含めた総工費が約3億円になる提案を出してくださった、地元の山仁建設にお願いすることになりました。

<校舎建設にむけて>

 昨年(2024年)の9月から、上記の必要建設資金3億円のために、学校関係者たちから始めて、建設資金への寄付のお願いをスタートしました。銀行からの借り入れ可能な額5000万円を含めて、現在約1億7000万円弱のお金が、この働きのために活用できる状態になっています。このこと自体が既に奇跡ですが、私たちはさらに2026年末までに、残り約1億3000万円を集める必要があります。
 出来上がる校舎は、世の中の学校に比べると小さな学校ですが、不登校生たちに大きな変化が起こっていく学校です。この学校は日本の教育社会に変革をもたらす可能性を秘めています。この学校建設の働きに、あなたもぜひご参加いただけると、感謝です。

のあインターナショナルスクール学びの多様化学校 新校舎建設予想図
▲新校舎完成予想図(2025年4月現在)

卒業生保護者の声

 娘は小学5年生から不登校でした。そんなある日、のあインターナショナルスクール(以下、のあIS)のホームページに目が留まり、中学3年生になった娘とともに、のあISを訪れました。わずか1時間の滞在でしたが、先生方が生徒一人ひとりに丁寧に心を込めて接している様子に感動し、娘の希望もあり、即入学を決めました。
 入学当初、娘は欠席や遅刻が多く、勉強も遅れていました。しかし、先生方の細やかな対応に支えられ、次第に毎日登校できるようになりました。
 のあISの先生方は、聖書のことば「わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している。」を全身全霊で実践してくださっています。全ての人が、神様から愛されている尊い存在であることを学べる生徒たちは、本当に幸せです。
 この春、21歳になった娘は新たな一歩を踏み出しました。のあISで注いでいただいた愛は、どんなことも乗り越える力となり、今も娘の中で輝いています。

 私の息子は小4(10歳)の時から不登校になりました。突然の事で、夫婦でわからないながら、フリースペースやカウンセリングなど、手当たり次第試してみましたが、解決には至りませんでした。
 そんな中、知人に紹介され、のあインターナショナルスクール(以下、スクール)に中学2年生から通うようになりました。スクールでは、「わたしの目にはあなたは高価で尊い。私はあなたを愛している。」というモットーの通り、愛の中で育まれ、優しい級友との交わりの中で、徐々に自分が何のために生きているのか、生きていくのか、わかり始めたようです。
 自分のような困難を抱えた子ども達の助けになりたいと、教育学部のある大学に進学し、今は横浜市の教諭として子ども達を支援しています。
 卒業生の保護者として、息子のように困難を抱えた子ども達、また、ご家庭がこのスクールで少しでも安心を得てほしい、また、卒業生がいつでも帰って来られるようにこのスクールが存続してほしい、と願っています。

<寄付のお願い>

目標寄付金額300,000,000円
達成寄付金額(含借入金)167,780,000円
必要寄付金額132,220,000
新校舎建設のための費用概算
経費項目費用
グランド是正費用2,000,000円
エスペランサ小屋撤去費用2,000,000円
グランド切土搬出費用10,000,000円
ヨシ設計コンサルタント料9,000,000円
オアシス業務委託料1,000,000円
アトリエ・キュー設計料5,000,000円
ヤマニ建設建築代金250,000,000円
小松崎測量所費用1,000,000円
スクール設備費20,000,000円
総費用300,000,000円